4月の保険点数改正で思うところ….
4月の保険改正でラバーダムの点数が無くなった。根管治療の目的は根管内の無菌化にある。決して根尖まで密接に根管充填することではない。ラバーダムをしないで根管治療することは、心臓の手術を手術室ではなく、ゴミ置き場でやるようなものだ。本当に大切なことを普及させていくことこそが、日本の医療の質を高めていくことに必要なことだと思うのだが、実体はその逆である。
一方でGTRの骨再生メンブレンの導入が認められた。確かにこの再生療法の技術は素晴らしいものかもしれない。だが、この技術が効果を持つのは、感染の除去がきちんと出来ていたらの場合だ。おそらく感染の除去がきちんと出来るならば、ほとんどの歯周病は治ってしまうだろう。従ってこの恩恵をうける患者さんはごく少数のはずだし、実際の適応症例もごく限られたものになる。
オーディオの話その6で紹介したCD12を作ったLINNの社長アイバー・ティーフェンブルン氏がこんなことを言っている。「製品を作り上げていく時、ひとつひとつの構成要素は何の変哲のないものでも、各要素を精密にエンジニアリングし、統合することで、結果はまるで違うものになります。ひとつのパーツをとりあげて、いいとか悪いとかということは、私にとって意味がありません。全てが重要なのです。大事なことは全体像を把握し、それぞれのパーツの役割を明確に理解することなのです。」
歯科治療も全く同じだと思う。骨再生メンブレンやインプラントもそれ自体は一つのパーツに過ぎない。治療全体を把握し、その過程のひとつひとつのステップの目的を明確に理解し、正確に実行することで、はじめて良い結果が得られるのである。最先端の技術や製品だけでは良い結果は得られない。
私はますますLINNという会社が好きになった。
LINN JAPANのHPにアクセスして、MESSAGE MOVIEを見てください。この会社のもつ理念の高さがわかります。