Super-Angulon-M 21mm F4はライカのレンズの中でも、その写りに定評がある人気レンズであるが、後球が大きく飛び出しているために、デジタルライカでは露出計が正確に機能しないレンズになっている。歯科医院には改造に最適な道具がそろっているし、せっかくのAE機能を使えないのは残念なので、レンズの改造に取りかかることにした。
デジタルライカの測光の仕組みは、レンズを通して入ってきた光をフォーカルプレーンシャッター膜に反射させて、ボディ下部にもうけられた測光部(左写真の3つのくぼみ)で受ける方式になっている。
そのため、シャッター膜中央部分は光が反射しやすいように白くなっている。下の写真にあるように、白い膜はM8では1枚であったが、M9では3枚になっている。
Super-Angulonの後球部分の測光部に相当する部分を削っていくのだが、Super-Angulon F4はフォーカスリングをまわすと後球部分も一緒にまわるので、全周の3分の2ほど削らなくてはならない。同じSuper-AngulonでもF3.4は後球がまっすぐ移動するので、削るところは一部分ですむようだ。21mmの広角レンズでは無限遠で使うことが多いと思われるため、手始めにその部分のみを削ってみることにした。
まずはじめにレンズ部分を傷つけたり、金属粉がレンズ内部に入り込まないようマスキングテープにてマスキングを行う。
オリジナルの状態でAEモード撮影すると、白飛びしてしまう。
どれくらい削れば適正露出になるのかわからないため、時々チェックする。
だいぶいい感じになってきた。もう一息か。
いい感じになった。
切削後の状態。
削った部分をマジックで黒く塗って完成。
Super-Angulon-M 21mmの特徴として、他のライカレンズに比べて撮影最短距離が40cmとかなり近くに寄れる点があげられる。光量不足もより改善できるかもしれないと思い、意を決して全周削ることにした。
全周落とせば、周辺光量不足が改善するかと期待してみたが、、、、
やはり後球の張り出しが大きいので、M9では光量不足が残ってしまった。
レンズ検出は21 f/2.8 11134に設定して、絞り優先AEモードにて撮影。
こちらは、白い紙をM9で撮影したときに得られる画像。Super-Angulonのレンズはフィルムに最適化されて設計されている。M9のセンサーパネルの左右の端の部分に届く光の角度が鋭角すぎるために、センサーが正しく光を検知できずに色のシフトを起こしているようだ。1980年以降に発売されたElmarit-Mの21mmレンズではこの問題が解決されているので、M9でも色かぶりの問題はみられないが、レンズのコンパクトさやデザインから考えると、Super-Angulonは捨てがたい存在だ。
改造Super-Angulon-M 21mm F4 + M9での撮影画像はこちら