世界の8000m峰14座に挑む
地球上にある8000m峰全14座の登頂に、韓国の登山家・呉銀善(44)が女性としては世界ではじめて成功した。8000m峰はいずれもヒマラヤーカラコルム山系に属する。彼女が最後に登ったアンナプルナ(左写真)は挑戦者の4割が死亡している最難関の8000m峰である。装備が良くなったここ20年でも死亡率は2割にせまる。
全14座の登頂に世界ではじめて成功したのは、1986年イタリア人のラインホルト・メスナーであるが、記録によるとこれまで21人の登山家がこの偉業を成し遂げている。中でも驚いたのは、21中4人が韓国人であることである。日本人は竹内洋岳の12座が最高である。かつて私は6座の無酸素登頂を成し遂げた小西浩文氏に会って話をしたことがあるが、一番の問題は資金集めだと聞いた。この春に7座目の挑戦を予定していたが、資金が集まらず来年に延期となった。小西氏は登頂成功のためにはパートナーであるシェルパ選びがもっとも大切だと教えてくれた。これまで数々の修羅場をかいくぐってきた小西氏は、相手の顔と目をみれば、よいパートナーかどうかすぐにわかるという。1996年エベレスト無酸素登頂の時、雪崩に遭遇し、シェルパのロブサン・ザンブーの口笛の合図にとっさに氷壁の影に身を隠して一命を救われたが、その最も信頼できるパートナーは帰らぬ人となってしまった。小西氏は8000m峰についてこう語っている。「クライマーにとって生き延びること、これが基本でありすべてである。体力、技術力、精神力が超一流という事だけでは8000m超の世界14峰を登頂し生還することはできない。神に選ばれた者だけが到達できる世界だ・・・」