マルチチャンネルオーディオの世界(その2)
CDもSACDもアナログレコードにはかなわないと思ってきたが、アナログレコードでは再生できないマルチチャンネルだけは、SACDの独壇場だ。2チャンネルオーディオとマルチチャンネルオーディオの違いを例えると、まさしく普通の映画と3Dの映画(特殊な眼鏡をかけてみるやつ)の違いと同じだ。聴覚を視覚に置き換えて考えてみただけの事だが、この感覚がぴったりと自分の体験に当てはまる。3Dでは映像が自分の方に迫ってくるように、マルチチャンネルでは全身が音に包まれた感覚になるが、これがとても気持ちよい。
しかし、全てのSACDがマルチチャンネルではないし、マルチチャンネルであっても、音質には雲泥の差がある。多くの音源は2チャンネル用に録られているので、多くはリマスタリングされてSACDフォーマット化されている。しかしソフトによっては、丁寧に良く考えられてリマスタリングされているものもあれば、形だけマルチにしたものまで、様々である。そんな中からおすすめのマルチチャンネルSACDをご紹介しよう。
CARPENTERS
Singles 1969-1981
私がはじめてラジカセなるものを購入して音楽を聞き始めたときに、最初に購入したレコードがCARPENTERSだった。ハイブリッド盤なので、通常のCDプレーヤーでも聞けるが、5.1chサラウンドモードには他の層には収録されていない音源が入っている。
「アイ・ビリーブ・ユー」では歌詞を変えて歌っているし、「小さな愛の願い」CDで聞くのとは別テイクのものになっています。
E.POWER BIGGS
JOHANN SEBASTIAN BACH
THE FOUR GREAT TOCCATAS AND FUGUES
ドイツのフライブルグのカテドラル教会にある4台のパイプオルガンを同時に演奏して聞かせてくれる。フロント左スピーカーには1ーMarien Organ、フロント右スピーカーには2−Choir Organ、リア左スピーカーには3−Nave Organ、リア右スピーカーには4−Gallery Organが割り当てられて、次々といろいろな方向からパイプオルガンの音色がひびいてくる。
左の図がカテドラル教会にある4台のパイプオルガンの配置図面。5がコンソールになっている。轟くようなパイプオルガンの重低音が部屋全体に響き渡る。んー、この体験も病み付きになりそう。新たな境地をマルチチャンネルオーディオは体験させてくれた。